仕事において優先順位をつけることは大切です。適切に優先順位をつけて行動することで効率良く処理できるだけでなく、限られた資源(人・物・資金・時間)でより多くの仕事をすることが出来るからです。それは全ての物事においても同様です。家計では、家賃や食費には優先して収入を配分します。その後に車の維持費や衣服に廻すでしょう。余裕があれば外食や旅行も楽しむことが出来ます。優先順位を間違えると家計は崩壊し生活を維持できなくなります。

 体内にも優先順位があります。例えば約5?の血液は、安静時には肝臓や消化管、腎臓に多く配分されます。活動時には肝臓や消化管は削減され、心臓や筋肉に多く廻ります。風邪の際は免疫細胞の活性化に優先してエネルギーが配分され、それ以外は削減されます。食欲がなくなるのはそのためです。脳の重量は体重の約2%に過ぎませんが、血液の約15%が流入し、酸素消費量の約20%が脳で消費されます。体の最重要の司令塔だからです。このように必要な所に必要な量を優先して分配するシステムがあるのです。
 以前の新型コロナウイルス感染拡大防止のために、経済活動が縮小され家電メーカーがマスクを、日用品メーカーが消毒液を生産しました。医療に優先的に資源が投入されている様子は体内活動とまさしく同じなのです。大切なことは、体は緊急時でも器官を維持するための最低限度の血液が供給されています。器官が絶えることのないよう、供給がゼロになることはないのです。休業補償が必須なのはそのためです。

 体内には経済界の忖度や駆け引き、パチンコに並ぶ長蛇の列はありません。「生命の維持」を優先した一致団結した素早い行動があるのみです。優先すべきことに資源を集中させる、当たり前のことですが、早期に問題を解決するために大切なことなのです。