国民的アニメ「ドラえもん」に出てくる夢の乗り物タイムマシン。このタイムマシンを使えば過去にも未来にも自由自在に行くことができます。もし自宅の引き出しにあれば、どこに行きますか?実はタイムマシンを使わずに誰でも過去を見ることができます。それは「遠く」を見ることです。

太陽から届いている光は約8分前に太陽から放たれたものです。光は一瞬で無限の距離を進んでいるように感じますが、実際には1秒間に約30万km(地球7周半の距離)しか進むことができません。光が進むスピードは有限であり、その光が1年間に進むことができる距離を1光年と言います。つまり、私たちがいるこの地球から1光年離れた所にある天体を見たとき、今見えている姿は1年前のものということになるのです。

例えば、オリオン座の左上に赤く輝く1等星「ベテルギウス」は約700光年離れた所にある天体なので、今私たちが見ているその姿は700年前(=西暦1300年頃の鎌倉時代)のものです。ひょっとすると、ベテルギウスはすでに爆発してしまった後でもうこの宇宙には存在しないのかもしれません。もしそうだとしても、私たちがそれに気付くことができるのは爆発から700年もたってからということになります。

宇宙を観測するとき、遠くを見ることは過去を見ていることと同じだと言われますが、このようにより遠くを見ることで、現在にいながら過去のことが分かるわけです。物理学者アインシュタインは「過去、現在、未来の間の区別は、単なる幻想にすぎない」と述べています。私たちは宇宙を見ることでその一端を実感することができるので