たくさんの患者さまを施術し経過を観察していると、早く治癒する方には共通の条件のようなものがあることが、次第に分かってきます。今回は早期治癒に必須の条件をお伝えします。
充分な睡眠時間
ひとつめは睡眠です。睡眠は人間の本質的欲求であり、人間に備わっている自然治癒力を十分に発揮させるために欠かせない条件です。その力は夜間睡眠中に免疫細胞が活発に働くことで高まります。つまり睡眠時間が長いほど免疫細胞という夜間作業員の仕事時間が長くなるので、早く回復します。
どんなに良い施術を受けても、たくさんの栄養を摂取しても、睡眠時間が短ければ早期治癒は望めません。早く治したいのに治らない人は、この当たり前の条件が欠けていることほとんどです。「寝る子は育つ」といいますが、「寝る子は治る」のです。
前向きな気持ち
前向きとはポジティブとかプラス思考と言い換えることができます。仕事やスポーツ、勉強など全ての物事でそうなのですが、前に進む気持ちが強いほど良い結果が出ます。体も同じです。怪我や病気をマイナス状態とするならば、それをプラスにとらえることができる人ほど、早く元の状態に戻すことができます。
治らない、不安だ、どうしようとマイナス側で考えてしまうと、そのエネルギーが足を引っ張ってしまい、3歩進んで2歩下がるのように治癒のスピードが遅くなってしまいます。前向きに考えて、必ず治るんだ、自分にとって良い経験になるんだと考えてみましょう。そして元気に仕事をしたり旅行を楽しんでいる姿をイメージしましょう。すると5歩前進することができるのです。
気持ちはエネルギーです。そのエネルギーをプラスとマイナス、前と後のどちらに向けるかだけなんです。簡単ですよね。そう考えると体は非常にシンプルです。どうせ歩くなら、前向きな気持ちでとらえて、3歩進んで2歩進みましょう。
強い目的がある
虫めがねで太陽の光を集めると、紙に火をつけること出来ます。光のエネルギーを一点に集約するからですね。身体も同じで、持っているエネルギーをひとつの目標に注ぐと、たとえ困難をな目標でも乗り越えて達成することが出来ます。例えば、名門校で野球がしたくて受験勉強を頑張ったり、旅行に行くために膨大な量の仕事を終わらせたり、留学のために短期間のアルバイトで莫大な費用を稼いだり、目標があると人間は大きなエネルギーを生み出します。
治す目的があると驚異的に回復します。肘を脱臼したにもかかわらず1週間後の最後の大会に出場した高校生、前日に足を捻挫して翌日4試合全勝したテニス選手、膝を捻挫したけど翌日のヨーロッパ旅行に行った女性。私がビックリするほど早く治癒して、目的を達成した症例はたくさんあります。
彼らに共通していること、それは「心の底から湧きあがる強い目標」があることです。それがあると「ありえない」「奇跡だ」と言うことも起こるのです。でもそれは奇跡でもなんでもなく、人間の能力なのです。本質なのです。、私達には凄い力が備わっているのです。
楽しんでいる人
ドーパミンというホルモンがあります。いわゆる“やる気ホルモン”と呼ばれるもので、意欲などに関係しています。ドーパミンは感動や楽しいことをしているときに多く分泌され、ドーパミンが多いほど免疫力も高まります。
吉本新喜劇を見て笑ったあとは白血球の数が増えることや、スポーツや登山を楽しむことでがん患者の体調や生活の質が飛躍的に向上することなどが研究で分かっています。つまり、楽しむだけでカラダは治ろうとするのです。病気や怪我は病院にかかって薬を飲まないと治らないと思いがちですが、いろんなことを楽しむだけで本来持っている自然治癒力が体を元に戻してくれるのです。
楽しむことに大金をかける必要もありません。いろんな所にちょっと出掛けたり、お茶や音楽を楽しむ、街の美しい花や樹木を楽しむことでもいいのです。いつも小さいことを楽しめる人は病気をしても早く治り、いつまでも元気です。
これが本来の人間の体なんです。私たちが複雑に考えているだけで、体はとってもシンプルなんです。楽しいことを増やしてドーパミンをどんどん出していきましょう。